本日から当院のブロガー兼事務、もとい事務兼ブロガーの深田おねえさんが加藤医院に帰ってきました。
まだ病み上がりですのでゆっくり仕事をしてもらっています。皆様やさしく見守ってあげてください。
さて、インフルエンザがだいぶ流行り始めています。
神奈川県も注意報レベルの流行をすでに起こしている地域が出てきており、当院でもインフルエンザの患者さんがお見えになるようになってきました。
前回は抗インフルエンザ薬についてお話ししましたが、今回は抗インフルエンザ薬以外の治療についてのお話しです。
それは何かというと・・・漢方薬です。
で、漢方薬とは何かというところから簡単に。
漢方薬は数千年の歴史の上に成り立っている薬剤です。
当然昔は病気の原因というのはよくわからないことがほとんどでした。ですので漢方治療というのは、長年の経験で「このような状態、このような症状にはこれらの生薬を煎じて飲ませたら効く」というのが見出されて確立してきた治療法です。
これは病気の原因に対して、その原因に対処しようとする西洋医学(つまり現在の主要な医学)と根本的に違うところです。
例えば、麻黄湯というよくインフルエンザ感染症に使われる漢方があります。
でも麻黄湯は「インフルエンザウイルスに対して」効く薬ではありません。麻黄湯は簡単に言うと、「高い熱があって、頭や体の節々が痛く、寒気がする、汗の出ない 状態 」の人に対して効く薬です。
これがインフルエンザ感染症の症状とよく合致するために多く使われるのです。
漢方の強みは、このような症状があってもインフルエンザと断定できない場合、それでも効くということです。
仮にインフルエンザでなければ抗インフルエンザ薬は(ターゲットとなるインフルエンザウイルスがいないため)当然効きません。一方麻黄湯は症状さえ合っていれば他のウイルスによる風邪でも効くというわけです(ということは当然インフルエンザ感染症であっても、症状が上のような典型的なものでなければ効きにくいということも言えます)。
インフルエンザの検査は、実は完璧なものではありません。
検査が陽性ならほとんどビンゴなのですが、インフルエンザの患者さんの40%近くを検査陰性として見逃してしまう検査でもあります。
そう考えると、実際にインフルエンザ感染症かどうかわからなくても効く漢方治療は、なかなか使い勝手のいい治療法なのではないかと私は思っています。
また前回お話ししたように、抗インフルエンザ薬にも耐性や副作用の欠点があり、必ずしも抗インフルエンザ薬を使わなければならないわけではない人には、ぜひ検討していただきたい治療です(数は少ないながらも抗インフルエンザ薬と比べて麻黄湯が同等以上の効果を示したという報告も出ています Journal of Infection and Chemotherapy 2012:18; 534-543)
もちろん漢方より抗インフルエンザ薬を使ったほうが好ましい場合も多々あり、味の好みの問題などもありますので、当院では患者さんの状態に応じて適宜使い分けていくこととしています。
最後にお知らせです。
インフルエンザ予防接種のワクチンの在庫が徐々に少なくなってきました。
まだ現在は予約なしで受けていただけますが、さらに在庫が少なくなり次第、先着の予約制に切り替えさせていただく予定です。
今のペースですと、おそらく年末年始には本格的な流行期が来ると予想されます。
ワクチン接種は本人だけでなく周りの方のためでもあります。まだの方はぜひ早めの接種をお願いします!